ヤギ先生の高校地理教室

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1か月で価値が消滅する通貨のベーシックインカム案

現代の危機的状況を解決するための抜本的なアイデアが思い浮かんだ。

昨今、様々なところでベーシックインカムが議論されているが、ベーシックインカムには以下のような課題が指摘されている。

 ・財源問題(MMT理論ではこれは存在しないとされるが、現行の財務省等の姿勢を見ていると新規国債発行によるベーシックインカムの導入は「政治的に」難しいと考える。)

  ⇒社会保障を削った上でのベーシックインカム論(竹中氏など)も提案される。

 ・インフレ懸念

 ・資産バブル

 ・労働意欲の阻害

 ・貯蓄に回ってしまう(by麻生太郎

これらの指摘は検討するに値するし、ベーシックインカムになかなか踏み切れない大きな要因となっているだろう。

 

そこで、上記の欠点を補った上で、かつベーシックインカムに類する効果をもつ政策を提案したい。 

【目標】「貧困の撲滅」と「国内自給率の向上」

【手段】1か月で価値が消滅する通貨のベーシックインカム

  • 1か月で価値が消滅する通貨(ここではヤギとしよう)を発行する。
  • 政府通貨に近い概念であるが、「1か月で価値が消滅する」ということがポイント
  • ヤギと円は同価値。例えば、2000円のTシャツは2000ヤギで購入できる。
  • 販売会社は円で受け取るかヤギで受け取るかを選択することはできない。また、円で払ったら割引などの措置をとることは不可(円とヤギは法的に同価値とする)。
  • 円とヤギの価値の違いは以下の通り。

 

ヤギ

国内使用

納税

外貨との交換

×

価値の保存(貯蓄)

×

 

  • 企業のヤギでの売り上げは次の月の人件費か納税に回すことができる。

  =従業員の給料は円とヤギの両建てで支払われる。売上高に比例して給与の割合も変わる。

  ⇒売り上げの多くがヤギで支払われる企業や行政機関の給与(想定しているのは固定費(税金、家賃、通信費、光熱費、サブスクなど))はヤギの比率が高まる。

  ⇒納税をヤギでできるのは一つのポイント。各企業は納税をヤギでできるため、ヤギを受け取ることはそこまで問題とならない。余った分は従業員の給与となる。

  • ヤギと円は交換できる。 円/ヤギ比率=貯蓄のコスト、外貨交換コスト

  例)100ヤギ=120円、100ヤギ=150円

  〇ヤギを円に替える人が増える(貯蓄や投資など)とヤギ安圧力がかかる。

  〇円をヤギに替える人が増えるとヤギ高圧力がかかる。

  • ヤギでローンを組むこともできる

 例)毎月3万ヤギをローン会社に払う。ローン会社は税や人件費にこの売上を回す。

  • 毎月X万ヤギを全国民に配る

 ・1万ヤギ×1.2億人×12か月=14.4億ヤギ/年の経済効果

 ・10万ヤギだと144憶ヤギ

 ・20万ヤギだと288憶ヤギ  ※日本のGDPは500兆円

  • ヤギの発行額によって、インフレ圧力が生じる。

 ・このインフレはディマンド=プルインフレとなる。

 ・毎年、経済統計を見ながら、適度なインフレになるようにヤギの額を調整する

  • 財源は0円で実施可能(厳密にはヤギ運用のための仕組み整備費用は必要)

 ・年金不要となる(年金は上記のXヤギに加えて、追加でヤギで配ればいい。高齢化問題も解決。)

 ・社会保障も国庫からの支出は多く減らせる

 (財政赤字の改善。個人的に必要ないと思うが、反MMT論者がうるさいので)

  • 従来の金融政策は資産バブルを生みだし、貧富の格差を拡大させ、財政政策が多くの財政赤字を残した。その財政赤字は消費増税という形で国民負担(逆進性が高いので特に貧しい人の負担)となっている。

この「1か月で価値がなくなる通貨ヤギ」であれば、確実に「実体経済」に向かうため、資産バブルなどの訳の分からない状態を作ることなく、リフレ政策を実施可能。

 

 

【予想される効果】

 ・消費が刺激される

  • 資産価格の上昇

・現在、日本の地価や株価が低く、外資による資産の買収が問題になっているが、これに対する防御力が高まる。

・下記の円安圧力を加味すると、ヤギの発行量によって相対的に資産価格は低くなる可能性はある。

  • この政策はインフレ圧力を高まるため、「円安」圧力が高まる。

・円安圧力は輸出力を高める。(日本製品の競争力が高まる)

・国産品が相対的に低価格となり、「国産品」を買おうという人が増える。

・雇用が日本に戻ってくる。

・石油などのエネルギー資源を購買する力が弱まる。

再生可能エネルギーなどへの投資により、エネルギーの「国産化」を促進できる。

  • 結婚、子育ての相対的コストが減る。

出生率が高まる。

・不要に「移民」受け入れが必要!と言い出す人がいなくなる。

 

【予想される懸念】

  • 実質的な政府通貨の発行のため、国際金融資本に目をつけられ、何らかの手段で攻撃を受ける可能性が高い。

 しかし、一般的には「陰謀論は存在しない」ということのようなので、この心配は不要。

 

昨日たまたま思いついただけのアイデアで、粗さが目立つところはあると思うので、予想される懸念があれば、ご意見いただければ幸いです。

雨ニモマケズ

雨にも負けず 風にも負けず

雪にも夏の暑さにも負けぬ 丈夫なからだをもち

慾はなく 決して怒らず

いつも静かに笑っている

一日に玄米四合と 味噌と少しの野菜を食べ

あらゆることを 自分を勘定に入れずに

よく見聞きし分かり そして忘れず

野原の松の林の陰の 小さな萱ぶきの小屋にいて

東に病気の子供あれば 行って看病してやり

西に疲れた母あれば 行ってその稲の束を負い

南に死にそうな人あれば 行ってこわがらなくてもいいといい

北に喧嘩や訴訟があれば つまらないからやめろといい

日照りの時は涙を流し 寒さの夏はおろおろ歩き

みんなにでくのぼーと呼ばれ 褒められもせず

苦にもされず そういうものに

わたしは なりたい

【ノート】F4.国家・民族紛争と領土問題②「世界の民族・領土問題」(系統地理ラスト)

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《世界の民族・領土問題》  COMPLETE p.224,225

[1]民族の対立と融和

 ① 世界の国々は、その多くが複数の民族からなる多民族国家 (複合民族国家)

 ② 多民族国家では、民族間の対立を反映して深刻な民族対立が発生していることが多い

 ③ 民族対立の理由はさまざまであるが、少数民族に対する差別や弾圧などが中心

   …民族対立の激しい国は、中国スリランカキプロス・マレーシア・アフリカの複数の国など

 ④ 一方、多民族国家でありながら民族間の対立がほとんどなく、国家の政治的安定が維持されている国もある。…スイス・ベルギー・シンガポールなど

  ⇒ これらの国では、少数民族の文化的多様性と自立を認め、多民族間の融和政策を積極的に推進している。  (連邦制を採用していることが多い)

 

[2]多文化主義

 ① カナダやオーストラリアは「多文化主義政策」を推進…先住民族の文化を積極的に受容

 ② カナダは、多文化主義政策を背景に多くの移民を積極的に受け入れている。

 

[3]世界のおもな民族問題や紛争地域

【アジア】

南沙群島 (スプラトリ諸島)問題南シナ海南部に位置する南沙群島(スプラトリ諸島)は、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、マレーシアなどが領有権を主張している。従来から防衛上の重要海域であったが、海底油田ガス田の存在が明らかになって以降、よりいっそう緊張が高まっている。とくに中国が強硬な姿勢で人工島の建設をおし進め、実効支配を強めてきたことがほかの国々とのみぞを深める原因になった。2016年には、国際仲裁裁判所が南シナ海の領有に関する中国の主張を否定する判決を下したが、これに対して中国は強く反発している。

東ティモール独立紛争ティモール島は19世紀半ばにポルトガルとオランダが分割領有。第二次世界大戦中は日本が占領。1945年、オランダ領であった西半部はインドネシア領となった。東半部はポルトガル領となったが、1974年ポルトガルが放棄、独立を宣言したが1976年インドネシアが併合。独立運動が進められ、1999年にはインドネシア軍が介入し、紛争が激化した。国連の暫定統治を経て2002年独立。

ブミプトラ政策(マレーシア)…マレー人優遇政策。中国系マレーシア人に対して、比較的劣位にあるマレー人の政治的・経済的・社会的地位の向上をめざす。経済的な実権をもつ中国系マレーシア人の中にはこの政策に不満をもつ人が多く、しばしば対立する。

カシミール 問題…1947年のインド・パキスタンの分離独立に際して、カシミールの帰属をめぐって引きおこされたインド・パキスタンの国境紛争。旧イギリス領インドからの独立の際、ヒンドゥー教徒であるカシミール藩王のインド帰属決定に対し、住民の大半を占めるイスラム教徒が反乱をおこした。これを機にインド・パキスタン両国が出兵、インド=パキスタン戦争に発展した。その後も紛争が続き、領国の核保有問題も絡んで、南アジア地域の不安定要因の1つとなっている。

シク教徒独立問題シク教徒が多いインド、パンジャブ州で、急進派がシク独立国設立を求める反中央政府闘争を展開。

スリランカ民族紛争…多数を占める仏教徒のシンハラ人政府に対して、少数派ヒンドゥー教徒のタミル人勢力が分離独立を求めた紛争。イギリス植民地時代にタミル人が優遇され、独立後はシンハラ優遇政策がとられたことに起因する。1983年に内戦が始まり、2009年に終結

アフガニスタン内戦(1979~2001年)…1979年左翼政権の存立を図るため旧ソ連軍が侵攻。1989年、旧ソ連軍の撤退後も内戦が激化。1996年タリバン政権樹立、イスラーム法による支配を進めた。同時にイスラーム過激派勢力が増加。2001年9月11日同時多発テロの報復として、米・英軍が侵攻。反政府運動も加わってタリバン政権は崩壊、暫定政権が成立。2004年に憲法制定、新政権発足。2011年、米軍撤退開始。政情は不安定。主産業は農業と遊牧だが、内戦と空爆で壊滅状態となった。

イラン・イラク戦争(1980~1988年)…1980年、イランとイラクの国境紛争に端を発した戦争。イラン革命の混乱に乗じて、イラクがイランに侵入することで始まった。国境となっているシャトルアラブ川の帰属をめぐる問題が、直接的な原因。イラン政府がシーア派イラクフセイン政府がスンナ派であったことや、クルド人問題も絡んで紛争を複雑にした。1988年に休戦が成立した。

クルド民族紛争(1945年~)…トルコ、イラク、イラン、シリアなどにまたがる山岳地域に生活する、3000万人ともいわれる国家をもたないクルド民族の民族統一独立運動

パレスチナ問題(中東戦争)(1948年~)パレスチナに建国したユダヤ人国家イスラエルと、追放されたパレスチナ人およびそれを支援するアラブ諸国との対立・抗争。

・1948年のイスラエル建国以来、4回に及ぶイスラエルアラブ諸国の戦争。

・1947年 国連はパレスチナユダヤ人国家とアラブ人国家に分割、エルサレムを国際管理下におくというパレスチナ分割案を決議したが、アラブ諸国は拒否。翌1948年イスラエルが建国、第1次中東戦争が勃発。結果、イスラエルは分割案よりも広い領土を支配し、多くのパレスチナ難民が生じた。

・1956年 第2次中東戦争…エジプトのスエズ運河国有化に端を発したイギリス・フランス・イスラエルとエジプトとの戦争。

・1967年 第3次中東戦争…エジプト・シリア・ヨルダンとイスラエルとの戦争。イスラエルゴラン高原ヨルダン川西岸地区ガザ地区シナイ半島(1982年エジプトに返還)を占領した。占領地の拡大によってさらに多くのパレスチナ難民が生じた。

・1973年 第4次中東戦争第3次中東戦争で敗退したアラブ諸国が巻き返しを図った戦争。アラブ側は原油値上げ戦略をとり、石油危機(オイルショック)の要因となった。

【用語】PLO (パレスチナ解放機構 )イスラエルによるパレスチナ占領や入植に対し、アラブ連盟が1964年に創設。パレスチナ難民の祖国復帰、アラブ人によるパレスチナ国家の再建をめざす組織。1993年、イスラエル政府との間で相互認定を行い、パレスチナ暫定自治協定に調印、ヨルダン川西岸地域及びガザ地区自治政府を組織することが認められた。

シリア内戦(2011年~)…一党支配(アサド政権)に対する反政府デモに反政府勢力や一部武装勢力なども参加して、暴力的衝突に発展。外国が反体制派を支持するなど紛争は広がり、多くの難民が流出。

キプロス問題…1960年、「キプロス共和国」としてイギリスから独立。1963年におこったトルコ系住民とギリシャ系住民との対立が、64年に内戦に発展した。1974年、ギリシャ軍事政権の支援を受けたギリシャ併合派のクーデタがおきると、トルコ系住民保護を理由にトルコ軍が侵攻。1983年、国土の約3分の1を占めると北部に「北キプロストルコ共和国」の独立を宣言した。トルコ系住民のほとんどが「北キプロス」に居住、ギリシャ系住民は南部の「キプロス共和国」に居住している。現在、国連とEUには「キプロス共和国」だけが加盟している。現在再統一への交渉が進められている。

 

【アフリカ】

ルワンダ内戦(1990~94年)…多数派フツ人の政府軍と民兵組織、少数派ツチ人のルワンダ愛国戦線との間で行われた内戦。もともとフツ人もツチ人も古くから同じ地域に住み、同じ言語を話す人々で、その違いはフツ人が農耕民、ツチ人が牧畜民である。植民地時代に、ベルギーからの独立後、対立が続いていたが、とくに1973年、クーデタでフツ人が政権をとると、ツチ人の難民が増加。1994年、飛行機事故によるフツ系大統領の死亡をきっかけに、フツ人がツチ人の大量虐殺を行った。ルワンダ愛国戦線により内戦は終結したが、報復をおそれるフツ人は多数隣国へ難民として流出した。ルワンダのツチ人とフツ人との対立は、隣国のブルンジコンゴ民主共和国でも内戦に発展した。現在では復興が著しく、ルワンダは「アフリカの奇跡」といわれる。

ソマリア内戦(1991年~)…「アフリカの角」と呼ばれる地域での内戦。植民地時代、北部はイギリス、南部はイタリアに支配されてきた。1960年、単一国家として独立、冷戦時代は米ソ間の駆け引きの舞台となった。冷戦後の1991年以降、氏族・宗派などを核にした武装勢力が全土に割拠し、事実上の無政府状態になった。国連はPKO(平和維持活動)のため、アメリカ軍を主体とした多国籍軍を派遣したが失敗し、撤退した。2006年、エチオピアの支援を受けた暫定政府が首都を制圧。2012年、ソマリア連邦共和国政府が発足した。しかし、その影響は南部地域に限られ、北東部は1998年に自治領宣言したプントランド、北部は1991年に独立宣言したソマリランド共和国が実効支配している。

ダールフール紛争(スーダン)(2003年~) スーダン西部のダールフール地方で勃発。2003年、政府支援のアラブ系民兵と非アラブ系の反政府勢力との対立が激化し、内戦へ発展した。この内戦で非アラブ系住民に多大な被害が生じ、多くの難民や死者が出た。そのため、AU(アフリカ連合)と国連がPKO(平和維持活動)の派遣を行ったが、紛争は依然として続いている。水資源や土地問題に加えて、石油資源の利権などが問題を複雑化している。

コンゴ内戦…1885年からベルギー植民地、1960年にコンゴ民主共和国が独立。独立直後にコンゴ動乱が発生した混乱が続いた。1971~97年国名をザイールに改称、97年の政変で現国名に戻す。1998年、東部地域で反政府運動が激化、ルワンダアンゴラなどの周辺諸国を巻き込んだ内戦が2002年まで継続。和平が成立したが、政情は不安定。

ビアフラ戦争(ナイジェリア)(1967~70)…民族集団の対立から生じた内戦。1967年、イボ人がナイジェリアから分離・独立してビアフラ共和国の樹立を宣言したことに端を発し、イギリス・旧ソ連に支配されたハウサ人・フラベ人・ヨルバ人を中心とする連邦政府と、フランス・南アフリカの援助を受けたイボ人との間で内戦がおこった。1970年、イボ人の敗戦によって終結したが、多数の餓死者や死傷者が出た。ナイジェリア内戦ともいう。

アパルトヘイト(~1991年)南アフリカ共和国で行なわれた極端な人種差別政策。人口の約18%を占めるにすぎない白人が、黒人や混血のカラード・インド人などの住民に対して政治・経済・社会のあらゆる分野で差別を行ってきた。黒人の抵抗運動、国際連合からの廃止勧告、経済制裁を受け、アパルトヘイトを支えてきた各種法律が1980年代後半から1991年にかけて廃止された。1994年、全人種参加の議会選挙が行なわれ、ネルソン=マンデラが大統領に就任し、南アフリカ共和国初の黒人政権が成立した。

 

【ヨーロッパ】

北アイルランド紛争(1969~98年)アイルランドは1937年、イギリスから自治領として独立した(完全な独立は1949年)。その際、スコットランドなどからの移民の多い北部6州は、イギリス領として残された。その北のアイルランドで、アイルランドへの帰属を望むケルトカトリック住民と多数を占めるイギリス系プロテスタント住民との対立がおこった。対立は激化し、アイルランドIRA(アイルランド共和軍)とプロテスタント系の過激派の間でテロが繰り返された。1998年に当事者間で和平合意が成立し、北アイルランド自治政府が発足した。のち一時凍結されたが、2005年IRA武装解除し、2007年自治政府が復活した。

バスク民族主義運動(スペイン)イベリア半島北部、ビスケー湾に面しスペインとフランスの国境地帯の地方名。バスク語を話しカトリックを信仰する民族が生活する。ビルバオ周辺では豊富な鉄鉱石が発見され、製鉄と造船業を中心に栄えてきた。スペイン・フランスに居住するバスク人は統一をめざし、バスク独立運動を展開。スペインではバスク人自治が認められ、バスク自治州がおかれている。

カタルーニャ独立運動…スペインからのカタルーニャ州(州都バルセロナ)の独立を目指す政治運動である。スペイン中央政府カタルーニャ民族を軽視するような言動を繰り返したこと、カタルーニャ州が税金として支出する金額とスペイン中央政府から還元される金額に大きな隔たりがあることの2点が理由で2010年代に独立運動が盛んになった。

ベルギーの言語紛争…ベルギー北部のオランダ系フラマン人と南部のフランス系ワロン人との対立。フラマン語はゲルマン語派に属する言語。ワロン語ラテン語から派生したレートロマン語の1つ。ワロン地域ではフランス語が使用されている。南部の石炭産業の斜陽化も対立の要因の1つであった。問題解決のために、ベルギーはフラマン語・フランス語・ドイツ語の3言語共同体、フランデレン(フラマン)地域・ワロン地域・ブリュッセル地域の3地域の連邦制をとり、各共同体・地域に大幅な自治を認めている。

コソヴォ自治問題セルビア共和国(セルビア正教)の南西部に位置するコソヴォ自治州では、イスラム教徒のアルバニア系住民が多数派を占める。1990年、分離独立を宣言したが受け入れられず、コソヴォ紛争にまで発展した。2008年2月にも、コソヴォセルビアからの独立を宣言している。

チェチェン紛争チェチェン共和国ロシア連邦北部のカフカス地方に位置し、コーカサス諸語を話すイスラム教徒が多く居住する国。19世紀、ロシア帝国に支配されて以来、ソ連支配時代も含め独立運動を継続、また集団化や信仰の抑圧に対しても激しく抵抗した。1991年、ソ連崩壊に際してチェチェンは独立を宣言するが認められなかった。1994年、独立の動きを阻止するためにロシア軍が侵攻し、首都グロズヌイは壊滅的な被害を受け、ロシア軍が占拠(第1次チェチェン紛争)した。1999年、ロシア軍は再びグロズヌイを攻撃し、多数の民間人が犠牲となった(第2次チェチェン紛争)。一方、武装勢力もテロ活動を一層激化させ、モスクワ劇場占拠事件(2002年)、学校占拠事件(2004年)などを引きおこした。

 

アメリカ】

ケベック独立問題(カナダ)…フランス系住民が約8割を占めるカナダのケベック州の分離・独立を求める運動。2度の住民投票では反対がわずかに多く否決された。州都はケベックで、最大の都市はモントリオール

フォークランド(マルビナス)諸島領有問題…アルゼンチンの東約500kmの大西洋上に浮かぶイギリスの自治領。アルゼンチン側の呼び名はスペイン語マルビナス諸島。イギリスとアルゼンチンとの間で領有権をめぐって対立がおこった。国連で解決を図ったが、1982年にアルゼンチン軍が侵攻、約10週間占拠したが、イギリスが奪還した(フォークランド紛争)。領国の国交が回復したのは1990年だが、領有権問題は棚上げにされている。

 

オセアニア

白豪主義…「白人だけのオーストラリア」をめざした政策。中国人などの移民が増加する19世紀中頃から、ヨーロッパ系住民の生活水準維持のため移民制限法が実施され、白豪主義政策が決議された。しかし、1970年代に労働力不足やイギリスのEC加盟などを背景にアジア・太平洋地域とのつながりを密接にもとうとする政策がとられ、1979年に廃止された。現在は多文化主義への指向を強めている。

【ノート】F4.国家・民族紛争と領土問題①「現代世界の国家と結びつき」

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《現代世界の国家と結びつき》  COMPLETE p.222,223

[1]国家の三要素

 ① 国家は、主権領域国民からなり、これを国家の三要素という。

 ② 領域は、主権の及ぶ範囲であり、領土領海領空に区分される。

 

[2]国境

① 国境には、山脈・河川・海洋などを利用した自然的  国境と緯線や経線を利用した人為的国境がある。

② 国境は、交流性隔絶性がほどよく存在することが理想的であり、海洋国境は理想に最も近い国境であるとされている。

自然的国境

山岳

山脈の分水嶺などを利用。隔離性はあるが、交流性には欠ける。ただし、アルプス山脈では、峠ごえの交通が発達した。 例)ヒマラヤ山脈(ネパールと中国)、スカンディナヴィア山脈(ノルウェースウェーデン)、ピレネー山脈(フランスとスペイン)

河川・

湖沼

古くから国境として利用されてきたが、河道が変化するため、国境紛争の原因となりやすい。湖沼も大きなものは海洋に準じ、国境として利用されることが多い。  

例)五大湖(カナダとアメリカ合衆国)、ライン川(フランスとドイツ)、ドナウ川(スロバキアハンガリー)、オーデル川(ドイツとポーランド)、アムール川(ロシアと中国)

海洋

隔離性・交流性ともにすぐれている。 例)日本、フィリピン、イギリス

砂漠

隔離性が低く明確な境界が引きにくかったが、近年の鉱山資源開発の影響により、国境線が確定されてきた。 

 例)ルブアルハリ砂漠(サウジアラビアとイエメン)

人為的国境

数理的

国境

経線・緯線に沿って直線的に定められた国境。新大陸、旧植民地に多い。

例)リビアとエジプトの東経25度線、カナダとアメリカ合衆国の北緯49度線

領海…国によって異なるが、多くの国は12海里である。第3次国連海洋法会議で領海の範囲は、低潮線から最大12海里に統一された。

領空…領土と領海の上空で、その国の主権が及ぶ空間。人工衛星が打ち上げられる宇宙空間は、国際的な空間として宇宙条約による取決めがある。

⑤ 日本の領海は、1977年に「領海法」が改正されて3海里から12海里に拡大された。

排他的経済水域…漁をしたり、鉱山資源の調査や開発をしたりする権利が、沿岸の国に認められている海域のこと。他の国は、船の航行は認められているが、海洋資源を勝手に開発することはできない。排他的経済水域の範囲は沿岸から200海里(≒370km)とされている。

 

[3]国家の分類

①政治による分類

 ・和国…主権が国民にあり、国民が元首や政治を行う代表者を選出する国。

     例)アメリカ合衆国、フランス、イタリア、中国、韓国など

 ・君主国…単独の首長により統治される国。その制度の違いにより、立憲君主制など、いくつかに分類される。

      例)サウジアラビア、イギリス、ベルギー、タイ、ブータン、オランダなど

②組織による分類

 ・単一国家…一つの国家機関(政府)のもとに統治されている国。世界の多くの国がこれに属する。

        例)日本、シンガポールなど多数

 ・連邦国家自治的な政府をもついくつかのが集まって、中央政府のもとに一国家を組織している国。

        例)アメリカ合衆国、ドイツ、カナダ、オーストラリア、ロシアなど

 

[4]国際連合(United Nations)の主要機関

①総会…全加盟国で構成され、国連の関与するすべての問題を討議する。各国が1票の表決権を有する。

安全保障理事会…5か国の常任理事国(米・中・英・仏・露)と10か国の非常任理事国の15か国で構成

国際の平和と安全に主要な責任を負う機関だが、常任理事国の拒否権により機能不全

③経済社会理事会…経済・社会・文化・教育・保健の分野で専門機関等の活動を調整するために設置された機関

国際司法裁判所…国連の主要な司法機関

⑤事務局…世界各地の国連事務所で働くすべての職員で構成され、多岐にわたる国連の日常業務を遂行する。

 

[5]国連の関連機関・専門機関

機関名(略称)

本部

設立

目的・活動など

関連機関

国際原子力機関

(IAEA)

ウィーン

1957

原子力の平和的利用を促進する事、原子力が軍事的利用に転用されることを防止することが目的。

世界貿易機関

(WTO)

ジュネーヴ

1995

関税など貿易の障壁となる規制を軽減させ、加盟国の貿易促進をはかる。GATTの発展機関として誕生。

専門機関

万国郵便連合(UPU)

ベルン

1874

郵便業務の効果的運営によって諸国間の通信連絡を増進する。

国際労働機関

(ILO)

ジュネーヴ

1919

労働条件の世界的な改善を目的とした機関。男女の平等な雇用や児童労働の撲滅などをはかる。

国連食糧農業機関

(FAO)

ローマ

1945

人びとの栄養を確保し生活水準を向上させること、また、農業生産性や農民の生活条件を向上させることが目的。

国際復興開発銀行

(世界銀行)(IBRD)

ワシントン

1945

戦災国の復興と発展途上国の開発を援助。加盟国の政府または企業に資金の長期的(平均15~20年)な貸出を行う。

国際通貨基金

(IMF)

ワシントン

1945

金融協力・貿易拡大を図る。国際収支が赤字の加盟国を支援し安定化させる。

国連教育科学文化機関

(UNESCO)

パリ

1946

教育・科学・文化を通じた国際協力を促進し、世界平和を図る。

世界保健機関(WHO)

ジュネーヴ

1948

世界中の人々の健康を最高水準に保つ。

国際開発協会 

(IDA)

ワシントン

1960

最貧国に対する長期無利息の借款を国際復興開発銀行(IBRD)よりも長期に貸し出す。

総会直下

国連児童基金

(UNICEF)

ニューヨーク

1945

子どもの生命が守られ、成長できるように、暴力・貧困・差別などの過酷な状況から守ることが目的。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)

ジュネーヴ

1950

難民の国際的な保護と問題の解決。

世界食糧計画(WFP)

ローマ

1961

食糧援助と緊急援助により、経済・社会の発展を図る。

国連貿易開発会議

(UNCTAD)

ジュネーヴ

1964

発展途上国の経済開発の促進と、南北問題に代表される世界的な経済格差の是正が目的。

国連開発計画(UNDP)

ニューヨーク

1965

発展途上国へ技術協力や能力開発のための資金供与。

国連環境計画

(UNEP)

ナイロビ

1972

人間環境宣言の理念を実行に移すため、国連の環境問題に関する活動と調整の機関。

国連大学(UNU)

東京

1973

全地球的な緊急問題の研究。

 

[6]おもな国家間の結びつき

設立

機関名(略称)

加盟国

本部

目的・活動など

1931

イギリス連邦

53か国

 

イギリスと旧イギリス植民地から独立したオーストラリアやニュージーランド、カナダなどの国々が対等の立場で構成する友好・協力関係を基盤としたゆるやかな国家連合体。

1949

北大西洋条約機構(NATO)

29か国

ブリュッセル

東西冷戦時代に、ソ連の脅威に対抗するための共同防衛組織として設立。現在は加盟国の安全保障、テロ対策などに取り組む。

1960

石油輸出国機構

(OPEC)

14か国

ウィーン

石油生産国の利益を確保するために設立。国際石油市場における価格の決定に影響力をもつ。

1961

経済協力開発機構(OECD)

35か国

パリ

経済成長、貿易の自由化、発展途上国の支援に貢献することを目的とした先進国による組織。

1967

東南アジア諸国連合(ASEAN)

10か国

ジャカルタ

東南アジアの安全保障を目的として設立。現在では経済、政治の面においても協力体制を強めている。

1968

アラブ石油輸出国機構(OAPEC)

11か国

クウェート

アラブ諸国産油国が、石油産業を中心に経済活動の協力を強めるために設立。サウジアラビアクウェートリビアの3か国により結成された。

1981

湾岸協力会議(GCC)

6か国

リヤド

加盟国の経済、安全保障の協力のために設立。関税同盟を発足させるなど経済面での協力関係を強めている。

1985

南アジア地域協力連合(SAARC)

8か国

カトマンズ

アジア諸国の生活、福祉の向上を推進さえ、経済、社会、文化を発展させることが目的。2006年に南アジア自由貿易圏が発足。

1989

アジア太平洋経済協力会議(APEC)

19か国と2地域

シンガポール

環太平洋地域の政府間の経済協力を推進することが目的。年に一度の首脳会議のほかに、各分野の担当大臣会議を開催。

1991

独立国家共同体(CIS)

9か国と2準加盟

ミンスク

ソ連に属していた国々が集まって構成。おもに経済、外交、防衛の面での協力が目的。

1993

ヨーロッパ連合

(EU)

28か国

ブリュッセル

ヨーロッパ共同体(EC)のいっそうの推進をめざして設立。加盟国の政治、経済・通貨統合をはかり、世界的にも大きな経済圏を形成。

1994

北米自由貿易協定(NAFTA)

3か国

オタワ、メキシコシティ、ワシントン

アメリカ合衆国・カナダ・メキシコの自由貿易協定。2008年に貿易制限はすべて撤廃となった。

1995

南米南部共同市場(MERCOSUR)

6か国と6準加盟

モンテビデオ

域内の貿易の自由化と関税同盟の設定、政治統合が目的。加盟国同士の経済的な衝突もあり、実質的な統合は難航。

2002

アフリカ連合

(AU)

53か国と西サハラ

アディスアベバ

安全保障や経済面での協力を促し、アフリカの統合をはかる。また、域内の紛争や政治問題などの撲滅をめざす。

2008

南米諸国連合(UNASUR)

12か国

キト

南アメリカ諸国の政治、経済、安全保障面での協力を強め、南アメリカ諸国の統合をめざす。

 

【ノート】F3.衣食住・民族と宗教③「宗教」

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《世界の宗教》  COMPLETE p.220,221

[1]宗教言語と並び、民族(後天的)を形づくる重要な要素

[2]宗教別人口

1位キリスト教(33.0%) 2位イスラーム(23.1%) 3位ヒンドゥー教(13.5%)  4位仏教(7.1%)

世界宗教…三大宗教であるキリスト教イスラーム、仏教のように広い地域で信仰されている宗教。

民族宗教ヒンドゥー教ユダヤ教シク教チベット仏教のように特定の国や民族に信者が限られている宗教。

 

[3]世界宗教

(1)キリスト教一神教ローマ帝国支配下イェルサレムでイエスによって創始され、ヨーロッパに広がった。

創始者エス  ●聖地:エルサレム  ●啓典:聖書(旧約聖書新約聖書)  

●成立時期:1世紀  ●地域:ヨーロッパ、北アメリカ、南アメリカ

<主な宗派>

カトリック…イタリア、スペイン、フランス、ポルトガルポーランドラテンアメリカ、フィリピンなど

南ヨーロッパを中心に中南アメリカなどに広がり、信者は12億人をこえる。ローマ教会のもとで発展し、バチカンローマ教皇を最高指導者とする中央集権的で世界的な教会組織を形成する。カトリックには、ギリシャ語で「普遍的な」という意味がある。

プロテスタント…ドイツ、イギリス、オランダ、アメリカ合衆国など

北西ヨーロッパから北アメリカに広がり、信者は約5億人。16世紀のルターやカルヴァン宗教改革によって、カトリック教会から分離して成立した。カトリックの聖職階層制度を否定する立場に立つ。プロテスタントには、「抗議する人」という意味がある。

正教会…ロシア、ギリシャなど

東ヨーロッパからロシアにかけて広がり、信者は約3億人いる。11世紀初めの教会の東西分裂により、東ローマ帝国のもとで発展した。ロシア正教など、民族ごとに独立した総主教(大主教)と教会組織をもつ。信仰のかなめはイコン(聖像画)である。

 

<ヨーロッパの民族・宗教分布>

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(2)イスラーム一神教アラビア半島のメッカやメディナムハンマドが創始。信者は約17億人。

創始者ムハンマド  ●聖地:メッカメディナエルサレム  

●啓典:コーラン  ●成立時期:7世紀

●地域:西アジア中央アジア、南アジア(パキスタンバングラデシュ)、東南アジア(マレーシア、インドネシア)、北アフリカ

唯一神アッラームハンマドに下した教えを記した聖典コーランの教えに従う。

 ⇒豚肉を食べない、飲酒をしない、女性は肌を見せないなどの戒律がある。

 ⇒信仰の告白、礼拝、喜捨、断食、巡礼の五行を守るべき信仰行為としている。

・宗派…多数派のスンナ派と少数派のシーア派(イランに多い)

 

<西・中央アジアの民族・宗教分布>

f:id:yagisensei:20210709030855p:plain

 

(3)仏教多神教。インドのガンジス川流域でブッダ(釈迦)が創始。

創始者ガウタマ=シッダールタ  ●成立時期:前5世紀  ●地域:東アジア、東南アジア

<宗派>

上座仏教 …インドからスリランカを経て東南アジアに広がる。個々に悟りをひらくことが重要とされ、出家して仏門に入る信者が多い。大乗仏教徒からは、広く大衆を救えないものという批判もある。上座は、東南アジアの部派の名をとったもの。南伝仏教ともいう。

大乗仏教 …紀元前後のインドで、上座仏教の保守化に対抗しておこり、中央アジアを経て中国や日本、ベトナムに広がった。大乗は「大きな乗り物」の意味で、広く大衆を救済することに特徴がある。在家信者が多いのが特徴で、北伝仏教ともいわれる。

 

[4]民族宗教

(1)ヒンドゥー教 多神教。   

●聖地:ヴァラナシ  ●啓典:ヴェーダ   ●地域:インド

・インド古代宗教バラモン教と土着の宗教を融合させて成立。

・世界最大の民族宗教で、インド総人口の約70%が信仰している。

・シヴァ、ヴィシュヌ、ブラフマーの三大神をはじめとした多神教で、牛は神の使いとされている=牛を食べない。カーストとのかかわりが深い。

 

(2)ユダヤ教 …一神教イスラエル民族宗教。後に成立したキリスト教イスラームのもとになった宗教。

●成立時期:前6 世紀  ●聖地:エルサレム  ●啓典:旧約聖書  

●地域:イスラエル、世界各地

・神ヤハウェに選ばれた民として恩恵を受けるという「選民思想」のほか、「律法主義」や偶像崇拝の否定などを特徴とする。

ユダヤ教キリスト教イスラームの共通点…ともに同じ神を信仰する。ともにエルサレムを聖地とする。

 

(3)シク教 …16世紀初めに創設された。多神教ヒンドゥー教に対し一神教的な性格をもち、カーストによる階層性も否定。ターバンを着用。インド、パンジャブ州を中心に分布。

 

(4)ゾロアスター教…紀元前6世紀ごろ、ペルシャ預言者ゾロアスターが始めた宗教。

祭壇の聖火を神の象徴とするので、拝火教ともいわれる。イラン、ムンバイ(インド)に分布。

 

(5)チベット仏教 大乗仏教と土着の宗教が融合して発達したもの。信者は祈りの言葉を唱えながら、経文が入った円筒をまわし、五体投地を繰り返す。チベット自治区、モンゴル、ブータンに分布。

【ノート】F3.衣食住・民族と宗教②「民族・言語」

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《世界の民族・言語》  COMPLETE p.218,219

[1]言語民族を分類する最も重要な指標

[2]語族…構造や語彙が近い言語のグループ

語族

おもな言語

インド・ヨーロッパ語族

ゲルマン語派(英語・ドイツ語など)

ラテン語派(フランス語・イタリア語・スペイン語など)

スラブ語派(ロシア語・ポーランド語など)

インド・イラン語派(ペルシア語など) など

②アフリカ・アジア語族

アラビア語ヘブライ語(ユダヤイスラエル)、エチオピア語など

ウラル語族

フィンランド語※、ハンガリー語※など  ※民族島

 アルタイ語族

モンゴル語トルコ語など

シナ・チベット語族

中国語、チベット語ビルマ語、タイ語など

オーストロネシア語族

(マレー・ポリネシア語族)

インドネシア語、マレー語、ポリネシア語、タガログ語など

その他

日本語、韓国・朝鮮語、インディアン・インディオ諸語など

ニジェール・コルドファン語族

バントゥー諸語、ヨルバ語など

用語

民族…言語、宗教、生活様式などの共通した文化的指標により、構成員が互いに伝統的に結ばれているという意識をもつ集団のこと。とくに、共通の言語をもっていることは同じ民族であるという意識を強めている。

母語と母国語…母語とは、生まれて最初に習い覚えた言語のこと。他方、母国語とは、話者が国籍を持つ国で、公用語とされている言語のことである。母語と母国語は必ずしも一致しない

民族島…ある民族の分布地域の中に、あたかも島のように点在する異民族の居住地域。スラブ系民族の国々の中に位置するルーマニア(ラテン系民族)など。

 

[3]公用語…国や州などで、公の場において用いることが定められている言語をいう。

1国家1公用語の国が多いが、複数の公用語を設けている国もある(多言語国家)。

 ※アジア、アフリカ、ラテンアメリカの旧植民地の国々では公用語として旧宗主国の言語が使われることが多い。

 

[4]多言語国家

スイス(仏・独・伊・ロマンシュ)  

カナダ(英・仏)  

ベルギー(蘭・仏・独)

シンガポール(中国語、マレー語、タミル語、英語)    

スリランカ(シンハラ語タミル語)

スペイン(国内にバスク語カタルーニャ語)

 

【参考】人種…人類を骨格・皮膚・毛髪などの外見の特徴によって分けた区分。アフリカで誕生した現生人類は、数万年かけて世界に分布を広げ、環境に適応することによって多様な特徴を獲得した。しかし、外見の特徴と遺伝子の特徴は必ずしも一致するわけではなく、現在では科学的な有効性が否定されている。

<古典的人種分類による人種の特徴>

コーカソイド(西ユーラシア人)・モンゴロイド(東ユーラシア人)・ネグロイド(アフリカ人)・オーストラロイド(サフール人)

【ノート】F3.衣食住・民族と宗教①「世界の衣食住」

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《世界各地の衣服》  COMPLETE p.214

[1]衣服…暑さや寒さを調節すると同時に、身分や職業を示す文化的指標でもある。

伝統的な衣服は、地元で得やすい素材を使い、地域の気候・風土・生活習慣に合わせたものが多い一方で、グローバル化ファストファッションの普及により衣服の画一化が進みつつある。

 

[2]世界の伝統的衣服…地元で得やすい素材を使い地域の気候、風土に合わせる。

①獣皮革…寒冷地域、乾燥気候での防寒に向く。

遊牧や狩猟で得た獣皮革をそのまま、または裁断・縫製して利用。

②毛織物…じょうぶで加工しやすく保温・吸湿性にすぐれる。

寒帯・温帯・熱帯を問わず、実用着、装身服、保温用に広く利用。

③綿織物…染色性、吸湿性がよく、高温湿潤な地域に向く。古代から利用され、綿生産も広い地域に普及。

④絹織物…中国東部からシルクロードを経由して西欧に伝わり、各地に養蚕も普及。

着心地、光沢、染色性がよく、高級衣料に利用。

⑤麻織物…人類最古の織物。吸湿性がよく、高温湿潤な地域に向く。製糸に手間がかかるため、徐々に綿・毛織物に移行。

 

[3]各地の伝統衣装

イヌイット:毛皮のコートのアノラック    

アンデス諸国:アルパカやリャマの毛で作ったポンチョ

③通気性重視インドネシア、マレーシア:サロン  

       インド:サリー  

       ガーナ:ケンテ  

       ベトナムアオザイ

④韓国:チマ・チョゴリ

イスラーム圏:全身を覆うような衣服、女性のチャドル(イラン)、ブルカ(地中海沿岸)など

スコットランド:キルト

 

 

《世界各地の住居》  COMPLETE p.215

[1]伝統的な家屋…衣服と同様に、地域にある材料を組み合わせて建てられることが多い。

・各地の気候・風土に対応するとともに、生業や社会組織にあったさまざまな様式がみられる。

・生活スタイルの変化やコンクリートの普及により、伝統的な家屋が減少しており、これらを残すために観光資源として保存・活用するところもある。

 

[2]世界の伝統的家屋の建築材料

①木…温帯地域では木の骨組みの家、北欧やカナダでは丸太造りの家

   その土地の樹種や木の豊富さに応じてさまざまな工法がみられる。

   木は丸太、板などに加工される。総木造りもあれば、石・土・草・竹、やしの葉などと組み合わせる例もある。

②石…ヨーロッパ、アンデスチベットなど 例) 地中海沿岸の白壁・小窓の家

 凝灰岩・石灰岩など加工しやすい石が取れる地域には切石積みの家屋が多い。木材など、ほかの材料と石材の入手のしやすさに応じて、純粋な石積みに木・石を組み合わせる工法も用いられる。

③土西アジア日干しレンガ(アドベ)、ヨーロッパでは焼きレンガ

 保温性・断熱性の高い身近な素材で、木や石の得にくい地域や少雨地域に多い。

 地下掘削、土積み、日干しれんが積みなどの工法があり、雨季のある地域では屋根材の工夫がみられる。

④木・草・葉…熱帯の湿潤地域

 

[3]高温地域の住居の特徴

・高温乾燥(BW,Cs)…開口部が小さい  例)日干しレンガや石材

・高温湿潤(Aw,Cw)…開口部が大きい  例)東南アジアの高床住居…洪水による冠水を防ぐため。

 

[4]その他

イヌイットイグルー(雪の家)

・移動式テント…ティピ(アメリカ)、パオ(中国)、ゲル(モンゴル)

・シベリアの高床住居…廃熱により永久凍土が融けることによる地盤沈下を防ぐため。

 

 

《多様な食文化》  COMPLETE p.216,217

[1]三大穀物小麦トウモロコシ 

   ※日常の食事の中心となる食べ物を主食という。

[2]おもな主食の特徴

①米モンスーンアジア(東アジア、南アジア、東南アジア)。蒸す、炊くが主流。麺にする場合も(ベトナムのフォー)。

   欧米でもよく食べられる地方がある(イタリア、スペイン、アメリカのカリフォルニア)、アフリカのマダガスカル

②小麦ステップ地帯に起源。ヨーロッパ、インド北部、西アジア、中国北部、北アメリカ、オーストラリア

※冷涼な地域では大麦ライ麦、オート麦も栽培。

 ヨーロッパではパンやパスタ

 インドや西アジア中央アジアでは水で練って焼いたチャパティや発酵させてから焼くナン

 中国北部では麺類やマントウ

③トウモロコシアメリカ大陸原産。メキシコ、ブラジル、西アフリカの一部

       メキシコでは粉を薄くのばして焼いたトルティーヤや具を入れて焼いたタコス。アフリカでは粉にして雑穀同様に食べる。

④いも類

・ジャガイモ…アンデスでは乾燥ジャガイモのチュニーニョが主食。

       ドイツ、ロシアでも消費量が多い。

キャッサバ…熱帯の焼畑農業による栽培。

          例)ナイジェリア、ブラジル、インドネシア、タイ、コンゴ

       デンプンの粉はタピオカという。

タロイモ、ヤムイモ…太平洋の島々で栽培

⑤肉類

 ・牛肉…ヨーロッパ、アメリカで消費量が多い。

    ※ヒンドゥー教徒は牛を神聖視するので食べない=牛の頭数多い

 ・豚肉…中国での消費量が多い。

    ※イスラーム教徒は禁忌とするために食べない=豚自体いない

 ・羊肉…西アジア中央アジアでの消費量が多い。

⑥乳製品(チーズ、バター、ヨーグルト)…乾燥地方の遊牧民の主食。馬の乳は馬乳酒とする。

 

[3]おもな宗教における食のタブー(禁忌)

イスラーム肉、脂などを含む製品、血、、処理の作法が守られなかった肉

 ※禁忌を避けた清浄な食物をハラール、逆に食べることを禁止されているものをハラームという。

ヒンドゥー教肉、脂などを含む製品(人によっては肉類全般、卵などを食べない)

        ※インドにはベジタリアンが多い

ユダヤ教…豚肉、馬肉、うろこのない魚介類(うなぎ、いか、たこ、貝類、甲殻類など)

④仏教…肉、卵、魚介類全般

キリスト教…馬肉(曜日によって肉類を禁ずる宗派もある)