ヤギ先生の高校地理教室

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【ノート】F4.国家・民族紛争と領土問題①「現代世界の国家と結びつき」

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《現代世界の国家と結びつき》  COMPLETE p.222,223

[1]国家の三要素

 ① 国家は、主権領域国民からなり、これを国家の三要素という。

 ② 領域は、主権の及ぶ範囲であり、領土領海領空に区分される。

 

[2]国境

① 国境には、山脈・河川・海洋などを利用した自然的  国境と緯線や経線を利用した人為的国境がある。

② 国境は、交流性隔絶性がほどよく存在することが理想的であり、海洋国境は理想に最も近い国境であるとされている。

自然的国境

山岳

山脈の分水嶺などを利用。隔離性はあるが、交流性には欠ける。ただし、アルプス山脈では、峠ごえの交通が発達した。 例)ヒマラヤ山脈(ネパールと中国)、スカンディナヴィア山脈(ノルウェースウェーデン)、ピレネー山脈(フランスとスペイン)

河川・

湖沼

古くから国境として利用されてきたが、河道が変化するため、国境紛争の原因となりやすい。湖沼も大きなものは海洋に準じ、国境として利用されることが多い。  

例)五大湖(カナダとアメリカ合衆国)、ライン川(フランスとドイツ)、ドナウ川(スロバキアハンガリー)、オーデル川(ドイツとポーランド)、アムール川(ロシアと中国)

海洋

隔離性・交流性ともにすぐれている。 例)日本、フィリピン、イギリス

砂漠

隔離性が低く明確な境界が引きにくかったが、近年の鉱山資源開発の影響により、国境線が確定されてきた。 

 例)ルブアルハリ砂漠(サウジアラビアとイエメン)

人為的国境

数理的

国境

経線・緯線に沿って直線的に定められた国境。新大陸、旧植民地に多い。

例)リビアとエジプトの東経25度線、カナダとアメリカ合衆国の北緯49度線

領海…国によって異なるが、多くの国は12海里である。第3次国連海洋法会議で領海の範囲は、低潮線から最大12海里に統一された。

領空…領土と領海の上空で、その国の主権が及ぶ空間。人工衛星が打ち上げられる宇宙空間は、国際的な空間として宇宙条約による取決めがある。

⑤ 日本の領海は、1977年に「領海法」が改正されて3海里から12海里に拡大された。

排他的経済水域…漁をしたり、鉱山資源の調査や開発をしたりする権利が、沿岸の国に認められている海域のこと。他の国は、船の航行は認められているが、海洋資源を勝手に開発することはできない。排他的経済水域の範囲は沿岸から200海里(≒370km)とされている。

 

[3]国家の分類

①政治による分類

 ・和国…主権が国民にあり、国民が元首や政治を行う代表者を選出する国。

     例)アメリカ合衆国、フランス、イタリア、中国、韓国など

 ・君主国…単独の首長により統治される国。その制度の違いにより、立憲君主制など、いくつかに分類される。

      例)サウジアラビア、イギリス、ベルギー、タイ、ブータン、オランダなど

②組織による分類

 ・単一国家…一つの国家機関(政府)のもとに統治されている国。世界の多くの国がこれに属する。

        例)日本、シンガポールなど多数

 ・連邦国家自治的な政府をもついくつかのが集まって、中央政府のもとに一国家を組織している国。

        例)アメリカ合衆国、ドイツ、カナダ、オーストラリア、ロシアなど

 

[4]国際連合(United Nations)の主要機関

①総会…全加盟国で構成され、国連の関与するすべての問題を討議する。各国が1票の表決権を有する。

安全保障理事会…5か国の常任理事国(米・中・英・仏・露)と10か国の非常任理事国の15か国で構成

国際の平和と安全に主要な責任を負う機関だが、常任理事国の拒否権により機能不全

③経済社会理事会…経済・社会・文化・教育・保健の分野で専門機関等の活動を調整するために設置された機関

国際司法裁判所…国連の主要な司法機関

⑤事務局…世界各地の国連事務所で働くすべての職員で構成され、多岐にわたる国連の日常業務を遂行する。

 

[5]国連の関連機関・専門機関

機関名(略称)

本部

設立

目的・活動など

関連機関

国際原子力機関

(IAEA)

ウィーン

1957

原子力の平和的利用を促進する事、原子力が軍事的利用に転用されることを防止することが目的。

世界貿易機関

(WTO)

ジュネーヴ

1995

関税など貿易の障壁となる規制を軽減させ、加盟国の貿易促進をはかる。GATTの発展機関として誕生。

専門機関

万国郵便連合(UPU)

ベルン

1874

郵便業務の効果的運営によって諸国間の通信連絡を増進する。

国際労働機関

(ILO)

ジュネーヴ

1919

労働条件の世界的な改善を目的とした機関。男女の平等な雇用や児童労働の撲滅などをはかる。

国連食糧農業機関

(FAO)

ローマ

1945

人びとの栄養を確保し生活水準を向上させること、また、農業生産性や農民の生活条件を向上させることが目的。

国際復興開発銀行

(世界銀行)(IBRD)

ワシントン

1945

戦災国の復興と発展途上国の開発を援助。加盟国の政府または企業に資金の長期的(平均15~20年)な貸出を行う。

国際通貨基金

(IMF)

ワシントン

1945

金融協力・貿易拡大を図る。国際収支が赤字の加盟国を支援し安定化させる。

国連教育科学文化機関

(UNESCO)

パリ

1946

教育・科学・文化を通じた国際協力を促進し、世界平和を図る。

世界保健機関(WHO)

ジュネーヴ

1948

世界中の人々の健康を最高水準に保つ。

国際開発協会 

(IDA)

ワシントン

1960

最貧国に対する長期無利息の借款を国際復興開発銀行(IBRD)よりも長期に貸し出す。

総会直下

国連児童基金

(UNICEF)

ニューヨーク

1945

子どもの生命が守られ、成長できるように、暴力・貧困・差別などの過酷な状況から守ることが目的。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)

ジュネーヴ

1950

難民の国際的な保護と問題の解決。

世界食糧計画(WFP)

ローマ

1961

食糧援助と緊急援助により、経済・社会の発展を図る。

国連貿易開発会議

(UNCTAD)

ジュネーヴ

1964

発展途上国の経済開発の促進と、南北問題に代表される世界的な経済格差の是正が目的。

国連開発計画(UNDP)

ニューヨーク

1965

発展途上国へ技術協力や能力開発のための資金供与。

国連環境計画

(UNEP)

ナイロビ

1972

人間環境宣言の理念を実行に移すため、国連の環境問題に関する活動と調整の機関。

国連大学(UNU)

東京

1973

全地球的な緊急問題の研究。

 

[6]おもな国家間の結びつき

設立

機関名(略称)

加盟国

本部

目的・活動など

1931

イギリス連邦

53か国

 

イギリスと旧イギリス植民地から独立したオーストラリアやニュージーランド、カナダなどの国々が対等の立場で構成する友好・協力関係を基盤としたゆるやかな国家連合体。

1949

北大西洋条約機構(NATO)

29か国

ブリュッセル

東西冷戦時代に、ソ連の脅威に対抗するための共同防衛組織として設立。現在は加盟国の安全保障、テロ対策などに取り組む。

1960

石油輸出国機構

(OPEC)

14か国

ウィーン

石油生産国の利益を確保するために設立。国際石油市場における価格の決定に影響力をもつ。

1961

経済協力開発機構(OECD)

35か国

パリ

経済成長、貿易の自由化、発展途上国の支援に貢献することを目的とした先進国による組織。

1967

東南アジア諸国連合(ASEAN)

10か国

ジャカルタ

東南アジアの安全保障を目的として設立。現在では経済、政治の面においても協力体制を強めている。

1968

アラブ石油輸出国機構(OAPEC)

11か国

クウェート

アラブ諸国産油国が、石油産業を中心に経済活動の協力を強めるために設立。サウジアラビアクウェートリビアの3か国により結成された。

1981

湾岸協力会議(GCC)

6か国

リヤド

加盟国の経済、安全保障の協力のために設立。関税同盟を発足させるなど経済面での協力関係を強めている。

1985

南アジア地域協力連合(SAARC)

8か国

カトマンズ

アジア諸国の生活、福祉の向上を推進さえ、経済、社会、文化を発展させることが目的。2006年に南アジア自由貿易圏が発足。

1989

アジア太平洋経済協力会議(APEC)

19か国と2地域

シンガポール

環太平洋地域の政府間の経済協力を推進することが目的。年に一度の首脳会議のほかに、各分野の担当大臣会議を開催。

1991

独立国家共同体(CIS)

9か国と2準加盟

ミンスク

ソ連に属していた国々が集まって構成。おもに経済、外交、防衛の面での協力が目的。

1993

ヨーロッパ連合

(EU)

28か国

ブリュッセル

ヨーロッパ共同体(EC)のいっそうの推進をめざして設立。加盟国の政治、経済・通貨統合をはかり、世界的にも大きな経済圏を形成。

1994

北米自由貿易協定(NAFTA)

3か国

オタワ、メキシコシティ、ワシントン

アメリカ合衆国・カナダ・メキシコの自由貿易協定。2008年に貿易制限はすべて撤廃となった。

1995

南米南部共同市場(MERCOSUR)

6か国と6準加盟

モンテビデオ

域内の貿易の自由化と関税同盟の設定、政治統合が目的。加盟国同士の経済的な衝突もあり、実質的な統合は難航。

2002

アフリカ連合

(AU)

53か国と西サハラ

アディスアベバ

安全保障や経済面での協力を促し、アフリカの統合をはかる。また、域内の紛争や政治問題などの撲滅をめざす。

2008

南米諸国連合(UNASUR)

12か国

キト

南アメリカ諸国の政治、経済、安全保障面での協力を強め、南アメリカ諸国の統合をめざす。